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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)250号 判決 1970年10月16日

被告人

1

本店所在地 東京都新宿区柏木一丁目三番一四号

鈴和ビル内

新栄開発株式会社

(右代表者代表取締役 野武栄太郎)

2

本籍 山梨県都留市與繩一、二一五番地

住居

東京都中野区中央三丁目一六番三号

職業

会社役員

野武栄太郎

大正五年七月二五日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

河野博

主文

1  被告新栄開発株式会社を罰金七〇〇万円に、被告人

野武栄太郎を罰金一〇〇万円にそれぞれ処する。

2  被告人野武栄太郎において右罰金を完納することが

できないときは、金一万円を一日に換算した期間、

同被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告新栄開発株式会社は、東京都新宿区柏木一丁目三番一四号鈴和ビル内に本店を置き、不動産の売買および仲介ならびに土地の造成開発等を営業目的とする資本金四、〇〇〇万円(設立時一、〇〇〇万円であつたが昭和四二年三月三一日二、〇〇〇万円に、同四四年一一月一〇日四、〇〇〇万円にそれぞれ増資したもの)の株式会社であり、被告人野武栄太郎は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人野武は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、あるいは架空の整地費および旅費交通費を計上して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四一年四月一日から同四二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二五九、九九一、六二〇円あつたのにかかわらず、同四二年五月三一日東京都新宿区柏木三丁目三一二番地所在轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一七九、八七四、二四七円でこれに対する法人税額が六一、二四〇、一九〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額八九、二七八、六二〇円と右申告税額との差額二八、〇三八、四三〇円を免れたものである。

(なお、修正損益計算書は別紙一のとおりであり、税額計算書は別紙二のとおりである。)

(証拠の標目)(かつこ内は立証事項であり、数字は別紙一の各勘定科目の番号を示す。)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1  架空外注費関係調査書(6、50)

2  架空旅費交通調査書(14)

3  簿外歩合給支明細調査書(10)

4  簿外売上月別入金状況調査書(1)

5  たな卸調査書(4、7)

6  別途普通預金調査書(31)

7  別途普通預金調査書(附属書)(31)

8  自昭和四〇年四月一日至四一年三月三一日事業年度分所得計算書(51)

一、淀橋税務署法人税第一課長清水喜覚作成の証明書(5、32、42、44、45、46)

一、淀橋税務署長本郷一郎作成の証明書(36、37)

一、東京都新宿税務事務所長作成の納税証明書(51)

一、次の者の大蔵事務官に対する各質問てん末書

1  湯本長利(昭和四三年四月一〇日付)(55)

2  遠藤重雄(昭和四三年四月一〇日付)(6、50)

一、次の者の作成した各上申書

1  遠藤重雄外一名(新栄開発株式会社と当社との取引についてと題するもの)(6、50)

2  富田儀雄(那須支店架空仮払金についてと題するもの)(14)

3  富田儀雄(架空仮払金の架空旅費の精算についてと題するもの)(14)

4  富田儀雄(第一期仮受金に関する件と題するもの)(42)

5  湯本長利(別途利益の分配についてと題するもの)(55)

6  秋富一美(別途利益の分配についてと題するもの)(55)

一、次の者の検察官に対する各供述調書(いずれも全般)

1  富田儀雄

2  前田民也

3  湯本長利

4  秋富一美

一、登記官作成の登記簿謄本(全般)

一、押収してある次の証拠物

1  総勘定元張一綴(昭和四五年押一、二五一号の1)(全般、特に2)

2  一般管理費及び販売費帳一綴(同押号の2)(9、15、24、41)

3  新興機械請求書綴一綴(同押号の8)(6、50)

4  税務関係領収証綴一綴(同押号の10)(24、51、52、53、54)

5  通告書綴一綴(同押号の11)(24)

6  新栄開発台北香港旅行日程表等一袋(同押号の14)(9、15、41)

7  昭41、4、1~42、3、31確定申告書一綴(同押号の27)(全般)

一、被告人野武栄太郎の大蔵事務官に対する次の質門てん末書

1  昭和四三年九月一八日付(55)

2  同年一一月一五日付(15、28、41)

3  同月二一日付(55)

一、被告人野武栄太郎の検察官に対する各供述調書および当公判廷における供述(全般)

(法令の適用)

判示事実は被告人野武につき法人税法一五九条に、被告会社につき同条、同法一六四条一項に各該当。被告人野武につき罰金刑選択。労役場留置につき刑法一八条。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一

修正損益計算書

新栄開発株式会社

自 昭和41年4月1日

至 昭和42年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙二

税額計算書

<省略>

<省略>

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